週4筋トレしても筋肉が付かない理由
西永福駅、永福町駅から徒歩数分の位置にあるパーソナルトレーニング専門ジム、大和パーソナルジムを運営しております代表の大和と申します。
高頻度で筋力トレーニングを続けているのに、なぜか筋肉がつかないと感じていませんか?
もしかしたら、その原因はトレーニングの頻度ではなく、トレーニングの量(ボリューム)と負荷(強度)のバランスにあるかもしれません。
この記事では、2つの重要な科学文献を基に、「週4回筋トレしても筋肉がつかない理由」を徹底的に解説します。
筋肥大と筋力向上のメカニズムを理解し、より効果的なトレーニング方法を見つけ出すためのヒントをお届けします。
筋肉が成長しない原因は、トレーニングフォームの正確性、栄養、睡眠、ストレス、遺伝など多岐にわたります。
この記事で解説する内容は、その中でも特に重要とされるトレーニングの量(ボリューム)と負荷(強度)に焦点を当てたものです。
これらの要因がすべてではありませんが、多くの人が見落としがちなポイントを理解することで、より効果的なトレーニングへと繋げることができるでしょう。
動画でも詳しく解説しておりますので、記事と合わせてご覧下さい。
目次
1.はじめに:専門用語の簡単な解説
2.筋肉の成長に関する最新文献の要約
3.週4回筋トレしても筋肉がつかない3つの理由
4.解決策:効果的なトレーニングプログラムの再構築
5.まとめ
1.はじめに:専門用語の簡単な解説
本記事を読むにあたり、まず以下の3つの専門用語を理解しておきましょう。
ボリューム(Volume)
トレーニングの総仕事量のことです。
一般的には「重さ × 繰り返し回数(レップ数) × セット数」で計算され、筋トレでどれだけの総量を扱ったかを示します。
このボリュームには「その日のボリューム」と「週あたりのボリューム」の2つの視点があります。
1. その日のボリューム
これは、1回のトレーニングセッションで、特定の筋肉群や種目に対してどれだけの総量を扱ったかを示します。
たとえば、今日の胸のトレーニングで以下を行ったとします。
- ベンチプレス: 80kg x 8回 x 3セット
- インクラインダンベルプレス: 30kg x 10回 x 3セット
この場合、今日の胸のトレーニングのボリュームは、以下の合計となります。
今日の合計ボリューム:
このように、その日のボリュームは、トレーニング内容を記録して前回の自分と比較する際に役立ちます。
2. 週あたりのボリューム
これは、1週間の間に特定の筋肉群に対してどれだけの総量を扱ったかを示します。
筋肥大の観点から最も重要視されるのが、この「週あたりのボリューム」です。
たとえば、先ほどの例に加えて、木曜日にも胸のトレーニングとして以下を行ったとします。
- ダンベルフライ: 15kg x 12回 x 3セット
- チェストプレス: 50kg x 10回 x 3セット
この場合、今週の胸のトレーニングの合計ボリュームは、月曜日の合計に木曜日の合計を足したものになります。
今週の合計ボリューム:
このように、週あたりのボリュームを管理することで、1回のトレーニングの重さにこだわり過ぎず、週全体で適切なトレーニング量を確保できているかを確認することができます。
後に詳しく説明しますが、筋肥大には、この週あたりのボリュームを少しずつ増やすことが最も効果的だと考えられています。
負荷・強度(Intensity/Load)
トレーニングで扱う重さの程度のことです。
これは、どれだけの総量を持ち上げたかを示す「ボリューム」とは違い、「どれだけ重いものを扱ったか」に焦点を当てたものです。
最も一般的な強度の表し方は、1回だけ持ち上げられる限界の重さ(1RM:1 Repetition Maximum)を基準にした割合(%)です。
例:ベンチプレス
あなたのベンチプレス1RM(1回だけ持ち上げられる最大の重さ)が100kgだと仮定しましょう。
- 高強度(約85%以上): 85kgや90kgといった重い重量でトレーニングする場合、これは「高強度」と言えます。この重さでは、頑張っても1〜5回程度しか繰り返せないでしょう。主に筋力向上やパワーアップを目的とします。
- 中強度(約60〜85%): 65kgや75kgといった、ある程度の重さでトレーニングする場合、これは「中強度」と言えます。この重さでは、一般的に6〜12回程度の反復が可能で、筋肥大を目的としたトレーニングで最もよく使われる強度です。
- 低強度(約60%未満): 50kgや40kgといった比較的軽い重量でトレーニングする場合、これは「低強度」と言えます。この重さでは、15回以上の多くの反復が可能で、筋持久力の向上を目的とします。
このように、強度とは、扱う重量があなたの最大筋力に対してどれくらいの割合かを示す指標なのです。
頻度(Frequency)
特定の筋肉群をトレーニングする回数を指します。
これは、どれだけの量をこなしたかを示す「ボリューム」や、どれだけ重いものを扱ったかを示す「強度」とは異なり、「どれくらいのペースで筋トレを行ったか」に焦点を当てたものです。
例:週あたりのトレーニング回数
- 高頻度(High Frequency): 特定の筋肉群(例:胸)を、週に3回以上トレーニングする場合、これは「高頻度」と言えます。例えば、月曜日にベンチプレス、水曜日にダンベルプレス、金曜日にプッシュアップを行う、といったプログラムです。
- 中頻度(Moderate Frequency): 特定の筋肉群を、週に2回トレーニングする場合、これは「中頻度」と言えます。例えば、週2回、全身の筋肉をバランス良く鍛えるメニューを行うプログラムです。
- 低頻度(Low Frequency): 特定の筋肉群を、週に1回トレーニングする場合、これは「低頻度」と言えます。例えば、月曜日は胸と三頭筋、水曜日は背中と二頭筋、金曜日は脚と肩、というように、週ごとにトレーニング部位を分ける「分割法」がこれにあたります。
このように、頻度とは、筋肉群ごとにどれくらいのペースで刺激を与えているかを示す指標です。
2.筋肉の成長に関する最新文献の要約
まずは、2つの重要な文献から得られた知見を見ていきましょう。
文献1: Carvalho et al. (2022) – 負荷と筋肥大・筋力の関係
この研究は、トレーニングのボリュームが同じである場合、軽い負荷(重さ)と重い負荷(重さ)のどちらが筋肥大と筋力向上に効果的かを検証しました。
- 筋力向上: ボリュームが同じでも、重い負荷を使ったトレーニングの方が、軽い負荷を使ったトレーニングよりも優れた筋力向上をもたらすことが分かりました。
- 筋肥大: 一方、筋肥大の程度は、トレーニングの負荷(重さ)の大きさに関係なく同等でした。つまり、ボリュームが同じであれば、軽い負荷で多くの回数をこなしても、重い負荷で少ない回数をこなしても、得られる筋肥大の効果は同じだということです。
この研究から分かることは、筋力向上には「重さ」が重要であり、筋肥大には「ボリューム」が重要だということです。
文献2: Pelland et al. (2024) – ボリュームと頻度の用量反応関係
この研究は、筋肥大と筋力向上に対する、週あたりのトレーニングセット数(ボリューム)と頻度(回数)の関係性を、より詳細に分析したものです。
- ボリューム(総セット数)の影響: 筋肥大と筋力の両方において、ボリュームが増えるほど効果も高まるものの、週あたり10〜20セットの範囲を超えると、効果が小さくなる効果の逓減が見られました。
- 頻度(トレーニング回数)の影響: 筋力向上には、頻度を増やすことが効果的であるものの、こちらも効果の逓減が見られました。一方で、筋肥大については、頻度を増やすことによる目立った効果は確認されませんでした。この文献では、筋肥大における頻度の影響は「無視できる程度である可能性と両立する」と結論づけています。
この研究は、筋肥大においては「トレーニングの総量(ボリューム)」が最も重要であり、筋力向上においては「ボリューム」と「頻度」の両方が重要であることを示唆しています。
3.週4回筋トレしても筋肉がつかない3つの理由
上記の2つの文献の知見を基に、あなたが週4回筋トレしているのに筋肉がつかないと感じる、考えられる3つの理由を解説します。
理由1:ボリュームが不足している
多くの人は、「トレーニング頻度を増やせば、自動的にボリュームも増えて、筋肉がつく」と考えがちです。
しかし、週4回の高頻度なトレーニングをしていても、十分なボリュームを確保できていない場合があります。
論文2が示すように、筋肥大には十分なトレーニングボリュームが必要です。
ボリュームは「重さ × 繰り返し回数 × セット数」で決まるため、たとえ週4回ジムに通っていても、各セッションでのセット数や回数、扱っている重量が少なすぎれば、筋肥大に必要な刺激が足りていない可能性があります。
筋肥大を促すには、ある程度のボリュームが必要であり、それが足りていないと筋肉に成長の刺激が届きません。
理由2:漸進的過負荷の原則が守られていない
筋肉を成長させるための最も基本的な原則が、漸進的過負荷の原則(Progressive Overload Principle)です。
これは、筋肉に常に新しい、より大きなストレスを与え続けることで、体がそのストレスに適応し、成長するように促すというものです。
- 漸進的過負荷とは: 例えば、先週10kgのダンベルで10回3セットできたとしたら、今週は11kgに重さを増やしたり、同じ10kgで11回に増やしたり、セット数を増やすなどして、筋肉に前週以上の負荷をかけることです。この「負荷を少しずつ増やしていく」過程が、筋肉が成長するための重要な刺激となります。
- なぜ重要か: 人間の体は、現在の負荷に適応すると、それ以上の成長を必要としなくなります。もしあなたが週4回同じメニュー、同じ重さ、同じ回数でトレーニングを続けているなら、筋肉はすでにその負荷に適応しており、成長する必要がないと判断しているのかもしれません。
- 週4回でも同じ負荷では意味がない: 頻度を増やしたとしても、毎回同じ負荷でトレーニングしているなら、筋肉は「これはすでに慣れている負荷だ」と認識し、成長を止めてしまいます。
あなたのトレーニングにこの原則が組み込まれているか、再確認してみましょう。
理由3:ボリュームの増やし方が間違っている
あなたが「週4回も筋トレしているのに…」と感じているのは、筋肥大が停滞しているからです。
これは、ボリュームの構成要素である「重さ」「繰り返し回数」「セット数」のいずれかを、継続的に増やせていないことに他なりません。
筋肉は常に新しい刺激を求めており、前回よりも大きなボリュームを与えない限り、成長を継続することはありません。
ただし、ボリュームを増やすほど効果も高まるものの、際限なく増やせば良いわけではないことが示唆されている事も忘れてはいけません(筋肉が発達するメカニズムは未だ完全な解明には至っていません。また、本記事では解説しませんが、筋肥大のトリガーとなるのはボリュームだけではありません)。
もしあなたが筋肥大の停滞を感じているなら、ボリュームを増やすために以下のいずれか、または複数を試してみましょう。
- 重さを増やす: 扱える重量が少しでも増えたら、迷わず挑戦してみる。
- 繰り返し回数を増やす: 同じ重さで、目標回数より1〜2回多くやってみる。
- セット数を増やす: 筋肉に十分な刺激を与えるため、週あたりのセット数を10〜20セットの範囲で少しずつ増やす。
これらの工夫によって、筋肉に新たなストレスを与え、成長を促すことができます。
4.解決策:効果的なトレーニングプログラムの再構築
それでは、これまでの知見を基に、より効果的に筋肉をつけるための具体的な解決策を提案します。
ステップ1:現在のボリュームを把握する
まず、あなたが現在行っているトレーニングの週あたりの総セット数を計算してみましょう。
各部位(胸、背中、脚など)ごとに、1週間に行っているセット数を数えます。
例:
- 月曜日(胸・三頭筋の日):ベンチプレス3セット、ダンベルフライ3セット、ケーブルクロスオーバー3セット…
- 水曜日(背中・二頭筋の日):デッドリフト3セット、ラットプルダウン3セット、シーテッドロウ3セット…
推奨されるボリューム:
- 初心者〜中級者: 週あたりのセット数(各部位)は、10〜20セットが推奨されています。この範囲でトレーニングを組み立てることで、筋肥大の最大の効果を得られる可能性が高いです。
ステップ2:漸進的過負荷の原則を適用する
トレーニングの各セッションで、少しずつ負荷を増やしていく計画を立てます。
- 重量を増やす: 前週よりも少しだけ重い重量に挑戦する。
- 回数を増やす: 前週と同じ重量で、回数を1〜2回増やす。
- セット数を増やす: 疲労度に応じて、セット数を増やす。
- 休憩時間を短縮する: 休憩時間を短くすることで、筋肉へのストレスを高める。
これらの方法を組み合わせ、トレーニング日誌をつけて記録することで、確実に漸進的過負荷を達成できます。
ステップ3:頻度とボリュームのバランスを見直す
週4回のトレーニングを最大限に活かすために、頻度とボリュームの関係を調整します。
- 全身メニュー vs. 分割法: 週4回トレーニングできるなら、分割法は非常に有効です。例えば、上半身と下半身を交互に行う「上半身/下半身」の2分割、あるいは「プッシュ(押す)・プル(引く)・レッグ(脚)」の3分割、さらには部位ごとの4分割など、自分のライフスタイルに合わせて選びましょう。
- 頻度とボリュームのトレードオフ:
- 高頻度(週4回)
- メリット: 筋力向上に有利。各セッションでのボリュームを抑え、無理なく続けられる。
- 中頻度(週2〜3回)
- メリット: 1セッションあたりのボリュームが大きくなりやすい。
- 高頻度(週4回)
5.まとめ
週4回筋トレしても筋肉がつかないと感じる理由は、決してあなたが努力不足なのではありません。
多くの場合、トレーニングの量(ボリューム)と負荷(重さ)のバランスが最適ではないからです。
筋肉の成長には、トレーニング内容だけでなく、食事や睡眠、遺伝など、様々な要因が影響します。
しかし、今回の記事で解説したポイントは、あなたが日々のトレーニングを見直す上で非常に重要な指標となるはずです。
この2つの文献が示唆するように、筋肉を成長させるためには、以下の3つのポイントを意識することが重要です。
- 十分なトレーニングボリュームを確保する: 筋肥大には、週あたりの総セット数が最も重要であり、まずは各部位10〜20セットを目標に、トレーニング日誌をつけ始めてみましょう。
- 漸進的過負荷の原則を実践する: 筋肉に常に新しいストレスを与え続けることで、成長を促します。毎回同じメニューではなく、「少しでも前回の自分を超える」ことを意識して記録してみましょう。
- 目標に応じた負荷と頻度を選ぶ: 筋力向上を目指すなら高負荷と頻度、筋肥大を目指すならボリュームを最優先に考えましょう。
これらの科学的な知見をトレーニングに取り入れ、あなたの努力を結果に繋げてください。
効果的なトレーニングプログラムを構築することで、きっと理想の体を手に入れることができるはずです。
当ジムではあなたの体を的確に評価し、あなたに合った運動を行っていくので確実に効果が感じられます。
だからこそ運動を継続する事が出来、正しく効果が出ているので確実に体が変わっていきます。
どうぞお気軽に無料カウンセリング・体験トレーニングへお越しください。
この記事を書いた人
大和弘明(大和パーソナルジム代表)
・全米スポーツ医学協会認定パフォーマンス向上スペシャリスト(NASM-PES)
・タイ政府公認タイ伝統医療協会認定セラピスト
・日本タイ古式マッサージ協会プロフェッショナルセラピスト
・2016年 第68回東京都パワーリフティング〔ノーギア〕選手権大会66kg級 優勝
【大和パーソナルジム情報】
東京都杉並区大宮2-7-4-102
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