体脂肪合成・分解のメカニズムを初心者へ解説
杉並区は浜田山、永福町を中心にパーソナルトレーナーとして活動している大和弘明と申します。
ダイエットで痩せるためには、運動をして、食べものを減らして…と様々なことを行っていく訳ですが、そもそもなぜ運動が必要で、糖質や脂質を減らす必要があるのでしょうか。
その理由を簡潔に理解しておくことで、あなたの頭の中の運動や食事制限の重要度や必要性が上がり、結果的にダイエットの成功率も上がります。
「なぜやっているのかよくわからない」ことには、ヒトは集中したり頑張ったりすることができないものです。
今回は、ダイエッターや筋トレ初心者の方に向けて、体脂肪の合成と分解のメカニズムについて解説しました。
あえて、大切なメカニズムの部分は専門用語をそのまま使用していますが、全体の説明や表現はわかりやすくしてあります。
是非本記事を読んで、体脂肪が増えたり減ったりする仕組みを理解して、自発的に必要性を感じながらダイエットを実施していってください。
納得して進むことがボディメイク成功への第一歩です。
目次
1.さまざまな脂肪について
2.リパーゼ(脂肪分解酵素)について
3.脂肪の合成メカニズム
4.脂肪の分解メカニズム
5.終わりに
1.さまざまな脂肪について
内臓脂肪、中性脂肪、体脂肪、脂質など、さまざまな似た表現がありますが、きちんと意味を理解できていない方が多いので、先ずは言葉とその意味について解説していきます。
体脂肪
ヒトの体内に存在する脂肪の総称を体脂肪と言います。
内臓脂肪、皮下脂肪、筋肉内脂肪が主な体脂肪の種類です。
脂肪(中性脂肪)
「 グリセロール(グリセリン)1 分子 + 脂肪酸 3 分子」
グリセロール1分子と脂肪酸3分子が水分子を失い、結合してできる化合物のことを脂肪と言います(エステル結合)。
グリセロールはアルカリ性、脂肪酸は酸性のため、脂肪は中性となります。
そのため、脂肪は中性脂肪(トリグリセリド)とも表現されることがありますが、どちらも同じものを指します。
脂質
生物内に存在し、水には溶けず、有機溶媒(溶剤)に溶ける化合物すべてのことを脂質と言います。
広い範囲を指し、脂肪(中性脂肪)、脂肪酸、リン脂質なども脂質に含まれます。
※参考資料:脂質 – 厚生労働省
2.リパーゼ(脂肪分解酵素)について
リパーゼとは、脂肪を脂肪酸とグリセロールに加水分解させる酵素のことで、脂肪を消化したり、体内で利用できる形にする働きをしています。
リパーゼには種類があり、代表的なものが以下の3つです。
※タブレットでご覧の方は、画面を横向き表示にすると見やすくなります。
名称 | 分泌場所 | 活性化因子 | 働き |
リポ蛋白リパーゼ | 骨格筋 脂肪組織 |
インスリン | 毛細血管の壁面に存在する。血中を流れてくるリポ蛋白(タンパク質と脂質の複合体の粒)内の中性脂肪を脂肪酸とグリセロールに加水分解し、遊離させた脂肪酸を細胞内へ取り込ませる。 |
ホルモン感受性リパーゼ | 脂肪組織 | アドレナリン ノルアドレナリン 副腎皮質ホルモン 成長ホルモン 甲状腺ホルモン グルカゴン |
脂肪細胞内に存在する。貯蔵されている脂肪を脂肪酸とグリセロールに加水分解させる。 |
膵液リパーゼ | 膵臓 | ー | 小腸で胆汁によって乳化(ミセル化)された脂肪を脂肪酸とグリセロールに加水分解させる。 |
3.脂肪の合成メカニズム
脂質は小腸から吸収され、カイロミクロン(リポタンパク質)という形になり、「小腸上皮細胞→リンパ管→胸管(リンパ管の主幹)→左静脈角(左の鎖骨あたりにある内頚静脈と鎖骨下静脈の合流部)→心臓→全身」という流れで全身を巡っていきます。
毛細血管の壁面には、リポ蛋白リパーゼという酵素が存在し、血中を流れてくるカイロミクロン内の脂肪を脂肪酸とグリセロールに分解します。
リポ蛋白リパーゼによって分解された脂肪酸は遊離脂肪酸(脂肪酸と運搬役のタンパク質の血清アルブミンが結合したもの)となって、その後、脂肪細胞に取り込まれます。
体内に糖質が豊富に存在するとき、糖質からエネルギーを作り出す解糖系という細胞質内のエネルギー生産回路が活性化します。
解糖系の途中では、グリセロール3-リン酸という物質が細胞内に生成されます。
リポ蛋白リパーゼの働きによって分解生成された脂肪酸と、解糖系でグルコースから変換されたグリセロール3-リン酸が材料となって脂肪(中性脂肪)が作られます。
脂肪合成が活性化する要因
・グリセロールの素となるグルコース(ブドウ糖=糖質)を食事から多く摂取すること
・脂肪酸、グリセロールの材料となる脂質を食事から多く摂取すること
・糖質を摂取することで膵臓のβ細胞から分泌される、インスリンによるリポ蛋白リパーゼの活性化
⇒リポ蛋白リパーゼが活性化することで、脂肪細胞に取り込まれる脂肪酸が増え、結果的に体脂肪を増加させます。
4.脂肪の分解メカニズム
脂肪細胞内に存在するホルモン感受性リパーゼという酵素が、脂肪を脂肪酸とグリセロールに加水分解します。
ホルモン感受性リパーゼによって加水分解された脂肪酸は、脂肪細胞内にグルコースが豊富にある場合においては、その多くが再び脂肪合成に使われます。
逆に脂肪細胞内にグルコースが不足している場合は脂肪酸は血中に放出され、血清アルブミンという運搬役のタンパク質と結合して遊離脂肪酸となります。
グリセロールは再び脂肪の合成に使われたり、解糖系という細胞質内のエネルギー生産回路で分解されます。
脂肪細胞から放出された脂肪酸(遊離脂肪酸)が、各細胞内に取り込まれてエネルギーとして燃やし尽くされれば、体脂肪は減少したことになる訳です。
脂肪分解を活性化させる要因
・「摂取カロリー<消費カロリー」となって血糖値が下がることで分泌されるグルカゴンによるホルモン感受性リパーゼの活性化
・中等度以上の強度の運動中に分泌される、アドレナリンやグルカゴンなどのホルモンによるホルモン感受性リパーゼの活性化
⇒「キツイな!」と感じられるくらいの運動強度が中等度の運動であり、カラダがエネルギーの充填をしようとする働きが活性化されます。
5.終わりに
これまでの説明をまとめると以下の通りとなります。
体脂肪の合成(増加)の一番の原因は、「体脂肪の材料となると同時に体脂肪の合成を活性化させる」糖質と脂質の同時摂取です。
脂肪細胞に貯蔵されてしまった体脂肪を分解させられるか否かは、体内のエネルギーの多さの影響を受けます。
特に、体内に糖質(グルコース=ブドウ糖)が多い場合は、脂肪細胞内から脂肪が血中に放出されにくくなるため、筋肉で燃焼させることもできなくなります。
つまり、体脂肪をこれ以上増やしたくない方は、パスタやごはんなどの糖質と同時にステーキやサバ、調理油(オリーブオイルも含む)などの脂質が多い食品を同時に摂取し過ぎないようにすることと、筋トレを週に最低1回以上行い、体内に貯蔵されたエネルギーをしっかり使うことを実施していきましょう。
参考書籍一覧
・はじめの一歩のイラスト生化学・分子生物学 牛土社
・脂肪酸とケトン体~糖質制限ダイエットの科学 山本義徳
当ジムが目指すのは、ただ痩せるのではなく、美容・体力向上・機能改善といった健康増進が達成された状態へお客様を導くことです。
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大和 弘明(職業:パーソナルトレーナー)
ガリガリから細マッチョとなり24/7ワークアウトへ入社し1年で独立。
カラダに対する自身の辛い経験をバネに、豊富な知識と競技者ならではの実践的な指導で
特にダイエットしたい女性や筋肉を付けたい男性を指導している。
賞歴:2016年第68回東京都パワーリフティング〔ノーギア〕選手権大会66kg級 優勝
資格:日本タイ古式マッサージ協会プロフェッショナルセラピスト
活動エリア:杉並区(西永福、浜田山、久我山)、新宿、恵比寿
【大和パーソナルジム拠点】
東京都杉並区大宮2-7-4
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