脂質の種類・働き・摂取方法を初心者へ解説

杉並区のパーソナルトレーニング専門ジム、大和パーソナルジムを運営している大和と申します。

「三大栄養素の中で最も重要なものは?」と質問された時、ほとんどの方がタンパク質と答えるでしょう。

それは、タンパク質はカラダの材料であり、水の次に多く体内に存在しているためです。

しかし、役割の多さでは脂質の方がタンパク質よりも重要だと考えることができます。

タンパク質は主にカラダの材料ですが、脂質はカラダの材料でもありエネルギー源でもあります。

皆さん周知の事実ですが、脂質は細胞の材料となりますので、どんな種類の脂質を摂取したかによって後に出来上がる自身のカラダの細胞の質が変わります。

「こんな細胞を作ってしまっていたなんて…」と5年後10年後に後悔しないためにも、脂質の種類や働き、どんな食品に含まれているのかについては最低限理解しておくようにしたいものです。

目次

1.脂質とは
2.脂質の種類と働き
3.必須脂肪酸(不飽和脂肪酸)について
4.飽和脂肪酸について
5.脂質の含有量目安
6.加熱調理に適した脂質について
7.摂取しない方がよい脂質について
8.終わりに

1.脂質とは

生物内に存在し、水には溶けず、有機溶媒(溶剤)に溶ける化合物すべてのことを脂質と言います。

広い範囲を指し、脂肪(中性脂肪)、脂肪酸、リン脂質、プロスタグランジン(エイコサノイドのひとつ)なども脂質に含まれます。

三大栄養素のひとつであり、1gあたり9kcalのエネルギーを持っています。

また、脂溶性ビタミンA、E、D、Kの吸収を助けます。

摂取量

2020年版日本人の食事摂取基準によると、脂質の摂取量は1日の摂取カロリー全体に対し、20~30%とされています。

例えると、1日の摂取カロリーが2000kcalの人の場合は、脂質で400kcal~600kcal(45g~67g)を摂取しましょうということです。

ダイエットを志す方や、体系をキープして体脂肪を増加させたくないとお考えの方の場合は、脂質の摂取量は20%を上限目標とすると良いです。(詳しい理論は「体脂肪合成・分解のメカニズムを初心者へ解説」をご覧ください)

2.脂質の種類と働き

脂質の種類 働き
脂肪酸 脂質(トリアシルグリセロール)の構成成分
中性脂肪 皮下脂肪として蓄えられており、エネルギーの貯蔵や体温維持
リン脂質 細胞膜(生体膜)や脳神経組織の構成成分
糖脂質 細胞膜や脳神経組織の構成成分
コレステロール 細胞膜や脳神経組織の構成成分であり、胆汁酸(脂肪の消化に必要な胆汁の主成分)やステロイドホルモンの材料
プロスタグランジン(エイコサノイド) 多価不飽和脂肪酸から作られ、様々な生理機能(生体反応)を制御する

まとめると、脂質はカラダを動かすためのエネルギー源、細胞膜の材料、ステロイドホルモン(性ホルモンなど)の材料、生理活性物質の材料となってカラダの様々な機能を制御するといった働きを持っています。

3.必須脂肪酸(不飽和脂肪酸)について

生理機能を制御して、カラダを正常な状態に維持するよう働く物質(エイコサノイド)を作るために必要な脂肪酸(脂質)を必須脂肪酸と言い、多価不飽和脂肪酸のオメガ3(リノレン酸)とオメガ6(リノール酸、アラキドン酸)がそれにあたります。

多価不飽和脂肪酸は体内で作ることができません。

したがって、必須脂肪酸は意識的に摂取する必要がありますが、摂取する際はバランスを意識する必要があります

なお、不飽和脂肪酸を多く含むものは熱に弱く、常温では液体という特徴があります。

※画面を横向き表示にすると見やすくなります。

必須脂肪酸 食事摂取基準※1 推奨比率 働き
オメガ3

(DHA、EPA、αリノレン酸)

女性1.6g/日

男性2.0g/日

※上限ではなく目安量

30~49歳の場合

1 炎症を抑える、体脂肪を減らす、血管を詰まりにくくする、免疫補強、(特にEPAは)筋肉分解を抑えて合成を高める、インスリンの感受性を良くする、ガンを抑える、エイコサノイドの材料
オメガ6

(リノール酸、アラキドン酸)

女性8g/日

男性10g/日

※上限ではなく目安量

30~49歳の場合

5(食事摂取基準2020年版)

2(脂質栄養学の権威ウド博士)

炎症を促進する、LDLコレステロールを下げる(過剰摂取はHDLコレステロールも下げる)、エイコサノイドの材料

※1参考資料:日本人の食事摂取基準(2020年版)脂質-厚生労働省

炎症抑制のオメガ3と炎症促進のオメガ6のバランスをとることで、結果的にカラダは正常な状態を維持できるようになっています。

したがって、オメガ6が悪でオメガ3が正義ということではありません。

オメガ6は肉、魚、卵、調理油(サラダ油など)に含まれているため、近年の日本人の食事傾向ではオメガ6が過多となっていますので、オメガ3を意識的に摂取してオメガ3:オメガ6の比率を1:5~1:2となるように調整しましょう

オメガ3は魚(特に青魚やオキアミ)、放牧牛、亜麻仁やえごまに豊富に含まれています。

摂取する上での注意点

オメガ6の過剰摂取は、アレルギーの悪化、動脈硬化の促進、血管が詰まりやすくなるといった健康上のリスクを上げてしまいますので十分に注意する必要があります。

オメガ3には、ダイエットに嬉しい体脂肪の燃焼を助けたり、細胞膜の質を良くする(アンチエイジング)などの効果が期待できますが、非常に熱や空気に触れて劣化しやすい性質を持っていますので、新鮮な魚や缶詰の魚、サプリメント、低温圧搾されて遮光瓶に入った亜麻仁油やえごま油(なるべく小容量のもの)から摂取するようにしましょう

また、体内での酸化を防ぐため、特にビタミンEやビタミンC、Rリポ酸といった抗酸化作用を持つ栄養素を合わせて摂取することをおすすめします。

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4.飽和脂肪酸について

飽和脂肪酸を含むものは常温では個体で、卵、肉(牛、豚、鶏)、バター、チーズ、ココナッツオイル、パーム油などに多く含まれており、免疫力の向上、細胞膜の構成といった働きがあります。

飽和脂肪酸の摂取量が多過ぎると、冠動脈疾患(心筋梗塞)、肥満、糖尿病の発症リスクを上げますが、少な過ぎると、脳卒中や脳卒中の発症リスクが上がります。※2

したがって、飽和脂肪酸は摂り過ぎも摂らなさ過ぎも良くない」と覚えておきましょう。

2020年版日本人の食事摂取基準※1によると、飽和脂肪酸の摂取量は1日の摂取カロリー全体に対し、18歳以上の男女では7%以下とされています。

1日の摂取カロリーが2000kcalの人の場合は、その7%である140kcal(15g)以下にしましょうということになります。

なお、飽和脂肪酸を多く含むものは熱に強いという特徴があります。

※2参考資料:国立がん研究センター「飽和脂肪酸摂取と循環器疾患発症の関連について」

5.脂質の含有量目安

トランプケースサイズの肉や魚の塊(100g)に含まれる脂質の含有量の目安は以下の表の通りです。

ざっくり、脂質の多さは「牛>豚>魚>鶏」の順番で覚えておくと良いでしょう。

肉の種類 100gあたりの脂質含有量(目安)
20~50g
10~30g
0.1~30g
0.5~15g

6.加熱調理に適した脂質について

牛、豚、鶏の脂(あぶら)は、飽和脂肪酸が多いため、酸化しにくく、加熱しても劣化しにくい脂質です。

液体の油では、オリーブオイル米油が比較的加熱に強いとされています。

7.摂取しない方がよい脂質について

カラダに一切必要ではない脂質が存在することを知っておくことも重要です。

酸化した脂質(過酸化脂質)

熱や空気に触れて酸化し、劣化した脂質のことを「酸化した脂質(過酸化脂質)」と言います。

鉄の酸化をサビと言いますが、正しく過酸化脂質は脂質のサビです。

体内で過酸化脂質が発生すると、細胞を覆う脂質(=細胞膜)を次々に酸化させてしまいます。

細胞膜には物質のやり取りなど様々な機能がありますが、酸化した細胞膜ではこれらの機能や細胞自体に異常をきたします。

過酸化脂質の発生原因 対応策
酸化した脂質を食事から摂取すること 空気や熱で酸化(劣化)した脂質を避ける。特に、油を使った料理で長時間放置されたものや、繰り返し使われた油で作られたものには、過酸化脂質が大量に含まれている恐れがあります。
体内に存在する脂質が活性酸素によって酸化すること ビタミンEやビタミンC、Rリポ酸、ファイトケミカルスといった抗酸化作用をもつ栄養素を摂取する。

LDLコレステロールが酸化してしまうと、結果的に動脈硬化の発症リスクが上がります。※3

※3参考資料:厚生労働省e-ヘルスネット「過酸化脂質」

トランス脂肪酸

人工的に作れた脂質であるマーガリンやショートニングがトランス脂肪酸の代表です。

血中コレステロールや体脂肪が増えてしまう脂質代謝異常症や糖尿病の発症リスクを上げます。

また、活性酸素の大量発生によってガン発症リスクも上げてしまいます。

筆者は、トランス脂肪酸を避けるため、一般的に売られている菓子パンやクッキーなどは10年以上食べていません。

稀にパンを買う時は、ショートニングやマーガリンを使用していない店で購入しています。

8.終わりに

「脂質の質はカラダの質、カラダの質は生活の質」by大和

知らぬが仏では済まないのが脂質のことです。

冒頭でもお話しした通り、後で後悔せずに済むために、気が付いた今から脂質の見方を変えていって頂ければと思います。

 

参考書籍一覧

・はじめの一歩のイラスト生化学・分子生物学 牛土社

・脂肪酸とケトン体~糖質制限ダイエットの科学 山本義徳

 

当ジムが目指すのは、ただ痩せるのではなく、美容・体力向上・機能改善といった健康増進が達成された状態へお客様を導くことです。

「いつまでも自分の足で歩きたい」「病院通いではなく楽しいことにお金を掛けたい」「いつまでも美しくありたい」「家族の健康を守りたい」と言うような、健康増進を強く望む方にとって、当ジムは最強のサポーターとなるはずです。

どうぞお気軽に無料カウンセリング・体験トレーニングへお越しください。

 

大和 弘明(職業:パーソナルトレーナー)

ガリガリから細マッチョとなり24/7ワークアウトへ入社し1年で独立。
カラダに対する自身の辛い経験をバネに、豊富な知識と競技者ならではの実践的な指導で
特にダイエットしたい女性や筋肉を付けたい男性を指導している。

賞歴:2016年第68回東京都パワーリフティング〔ノーギア〕選手権大会66kg級 優勝

資格:日本タイ古式マッサージ協会プロフェッショナルセラピスト

活動エリア:杉並区(西永福、浜田山、久我山)、新宿、恵比寿

【大和パーソナルジム拠点】
東京都杉並区大宮2-7-4
京王井の頭線 西永福駅から徒歩5分