アルコールを摂取すると痩せない理由・メカニズムを初心者へ解説
永福町駅・西永福駅・浜田山駅から徒歩数分の位置にあるパーソナルトレーニング専門ジム、大和パーソナルジムを運営している大和と申します。
想定の範囲外のことが起こった時、ヒトは混乱したり、悩んだり、立ち止まったりしてしまうものですが、これはダイエットやボディメイクにおいても同じことが言えます。
実は太る行為を、そうとは知らずに行ってしまっている方は、いつまで経っても痩せないという結果を受け入れることが出来ません。
「私は痩せるために頑張っているのになぜか痩せない!もう諦めようかな…」というような考え方に至ってしまうかもしれません。
しかしながら、予めカラダの中で起きていることのメカニズムをある程度知っていたとしたら、想定の範囲内として「先週は明らかに太る食べ方を続けてしまっていたのだから、少し太っていても理解出来るな!」というように、前向きに捉えることが出来ます。
筆者の私は、パーソナルトレーナーとして5年にわたって、様々なお客様と出会って参りましたが、メカニズムの部分についてある程度理解を深めることが出来る人程、より早くダイエットを成功させることが出来ている印象を受けています。
ということで今回は、ダイエットを志すお酒好きの方に向けて、アルコールを摂取することで体脂肪が燃焼しにくくなってしまう理由について、少しだけ体内で起こっている化学反応のメカニズムも踏まえながら解説していきます。
完全に禁酒しなければ痩せることが出来ない訳ではありませんが、飲酒がダイエットの進行方向に対して逆風(向かい風)であることは紛れもない事実ですので、その事実を先ずは知り、その上で飲酒頻度やダイエットの目標設定の決定に役立てていって下さい。
目次
1.アルコール代謝の流れ
2.アルコールが体脂肪の燃焼を妨げる理由
3.アルコールの誤った認識
4.終わりに
1.アルコール代謝の流れ
アルコールの代謝は約90%が肝臓で行われ、残りはそのまま呼気や汗、尿から排泄されたり、その他の臓器で代謝されます。
肝臓を経由する代謝の流れは以下の通りです。
①お酒を飲む。(アルコールを摂取する)
②消化管を通り抜けながら、胃で約20%、小腸で約80%が吸収される。
③胃と小腸から吸収された後、門脈と呼ばれる血管を通って肝臓へ運ばれる。
④肝臓でアルコールは、アルコール脱水素酵素(ADH)、ミクロゾームエタノール酸化系(MEOS)、カタラーゼ系(ペルオキシゾーム酸化システム)の3つの経路によりアセトアルデヒドになる。
(ADHがアルコール代謝の主な経路ですが、飲酒の量や頻度に応じて、MEOSとカタラーゼ系の代謝経路が担う割合が変化します。適量飲酒ではADHが主ですが、過剰飲酒に伴ってMEOSとカタラーゼ系の割合が増加します。)
⑤アセトアルデヒドは、アルデヒド脱水素酵素(ALDH)によって酢酸になる。
⑥酢酸はその後、血管を通って筋肉や脳などの抹消組織に運ばれる。
⑦抹消組織に運ばれた酢酸は、コエンザイムA(補酵素AやCoAとも表す)と結合(チオエステル結合)し、高エネルギー化合物のアセチルCoAになる。
⑧アセチルCoAは、ヒトのエネルギー(ATP:アデノシン三リン酸)を生産するミトコンドリア内のTCA回路に入る。
⑨TCA回路に入ったアセチルCoAは、エネルギー源として使われ、最後は水と二酸化炭素になる。
参考文献※1、※2、※3、※4、※5、※6、※12
2.アルコールが体脂肪の燃焼を妨げる理由
(1)アルコール自体がカロリー(エネルギー)を持っているため
アルコールには1gあたり7.1kcalのエネルギーがあるため、消費カロリーを上回って摂取すれば、オーバーカロリー(ポジティブエネルギーバランス)になり、体脂肪は燃焼しにくくなります。※7
体脂肪の燃焼は、カラダがネガティブエネルギーバランス(摂取カロリー<消費カロリー)の状態の時に促進されます。
(2)体脂肪の材料を増やす働きが強まるため
肝臓において脂肪酸(=中性脂肪の材料)、トリグリセリド(=中性脂肪≒体脂肪)の合成を支配する転写因子(タンパク質)であるSREBP-1cが活性化されます。※5、※8、※9
SREBP-1cが活性化すると、脂肪酸とトリグリセリドが沢山作られるようになります。
(3)体脂肪が燃料として利用されにくくなるため
AMPK(AMP-activated protein kinase)の働きが抑制され、尚且つ、アルコールの分解途中に生じるアセトアルデヒドによって、PPAR-α(peroxisome proliferator-activated receptor-α)の働きが抑制されることで、β酸化(脂肪酸の燃焼)が低下し、体脂肪が燃料として利用されにくくなります。※5、※9、※10
AMPKは、細胞内のエネルギーレベルを監視し、エネルギーが低下した場合は活性化して体脂肪の燃焼を促進させ、エネルギーレベルを回復させる役割を持っています。※11
PPAR-αは、ペルオキシゾーム増殖剤応答性受容体という、脂肪酸の燃焼を制御する転写因子(タンパク質)です。
3.アルコールの誤った認識
「アルコールはエンプティカロリーだから太らない」
「アルコールは熱で発散されるから太らない」
「アルコールは優先的に燃焼されるから太らない」
というような言葉をよく耳にするかと思いますが、残念ながらこれらは全て間違った認識です。
エンプティカロリーとは、「栄養素が含まれていないカロリーだけのもの」を指す言葉であり、ゼロキロカロリーとは意味が異なります。
アルコールは蒸発(揮発)しやすいことから、体内に入ったアルコールも同じようにすぐに消えてしまうようなイメージを持ってしまっている方も多いのではないでしょうか。
アルコールは最終的に酢酸になりますが、酢酸は短鎖脂肪酸(脂質)であり、中鎖脂肪酸や長鎖脂肪酸と比べて早く代謝される性質を持っています。
長鎖脂肪酸はミトコンドリア(脂肪酸を燃焼させるところ)の中に入るにはカルニチンと結合しなければなりませんが、短鎖脂肪酸と中鎖脂肪酸はカルニチンと結合しなくてもミトコンドリアの中に入ることが出来ます。
酢酸(短鎖脂肪酸)が早く代謝されるとは言っても、酢酸はアセチルCoAという”エネルギーを持った”化合物になりますので、アセチルCoAがエネルギーとして消費されなければ、余剰分のエネルギーとして体内に蓄積されることになります。
4.終わりに
・アルコールは0kcalではなく7.1kcalのエネルギーを持っていること
・アルコールには体脂肪の材料を増やす作用があること
・アルコールには体脂肪を燃焼しにくくする作用があること
これらの理由から、アルコールを摂取すると痩せにくくなってしまいます。
今回の記事では、アルコールによって体内でどのような反応が起こっているのかを知っていただくため、シンプルに「アルコールを摂取するとなぜ痩せないのか」というテーマについて解説しました。
食欲の秋到来ですが、アルコールを賢く摂取するための方法としては「【断れないあなたのための】太らないお酒の飲み方を解説」をご覧ください。
参考文献
※7 厚生労働省e-ヘルスネット「アルコールのエネルギー(カロリー)」
※8 SREBP-1cとインスリン作用、メタボリックシンドローム – J-Stage
※10 α型ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(PPARα) – J-Stage
※11 身体運動と食をつなぐ生体内エネルギー調節の分子機構 – J-Stage
※12 第2のアルコール代謝経路 Microsomal – OPAC 千葉大学 野村文夫
当ジムが目指すのは、ただ痩せるのではなく、美容・体力向上・機能改善といった健康増進が達成された状態へお客様を導くことです。
「いつまでも自分の足で歩きたい」「病院通いではなく楽しいことにお金を掛けたい」「いつまでも美しくありたい」「家族の健康を守りたい」と言うような、”健康増進”を強く望む方にとって、当ジムは最強のサポーターとなることをお約束します。
どうぞお気軽に無料カウンセリング・体験トレーニングへお越しください。
大和 弘明(職業:パーソナルトレーナー)
ガリガリから細マッチョとなり24/7ワークアウトへ入社し1年で独立。
カラダに対する自身の辛い経験をバネに、豊富な知識と競技者ならではの実践的な指導で
特にダイエットしたい女性や筋肉を付けたい男性を指導している。
賞歴:2016年第68回東京都パワーリフティング〔ノーギア〕選手権大会66kg級 優勝
資格:日本タイ古式マッサージ協会プロフェッショナルセラピスト
活動エリア:杉並区(西永福、浜田山、久我山)、新宿、恵比寿
【大和パーソナルジム拠点】
東京都杉並区大宮2-7-4
京王井の頭線 西永福駅から徒歩5分