糖質の消化・吸収・燃焼の流れを初心者へ解説

永福町駅・西永福駅・浜田山駅から徒歩数分の位置にあるパーソナルトレーニング専門ジム、大和パーソナルジムを運営している大和と申します。

根拠を理解することは、頭の中の優先順位や必要性を上げることに繋がり、成果が出るまで行動を正しく継続するための力(継続力)となります。

ということで今回は、我々のエネルギー源である糖質がどのように消化・吸収されているのかを詳しく解説します。

また、糖質をカラダの細胞へ運ぶ役割を持ったタンパク質(糖輸送体)の働きと、それに伴う運動が及ぼす健康に対するメリットについても解説しています。

目次

1.糖質の種類
2.糖質の消化~吸収
・SGLT(ナトリウム依存性グルコース輸送体)
・GLUT(グルコース輸送体)
3.糖質の吸収~燃焼
・インスリンによるGLUT4のトランスロケーション
・筋収縮によるGLUT4のトランスロケーション
4.終わりに

1.糖質の種類

単糖類はそれ以上消化の必要がありませんが、少糖類、多糖類は消化(分解)の必要があり、最終的にはいずれも単糖類へ分解されます。

したがって、消化~吸収までに掛かる時間は、単糖類→少糖類→多糖類の順番で長くなります。

二糖類~四糖類、または、三糖類~四糖類のことをオリゴ糖と呼ぶ場合があります。

炭水化物に分類される食物繊維は、ヒトの消化器官では消化・吸収することができませんが、排便を促したり、腸の環境を整えたりする働きがあります。※1

日本人の食事摂取基準(2020年版)によると、食物繊維の目標摂取量は男性18歳以上では21g以上、女性18歳以上では18g以上となっています。※2

2.糖質の消化~吸収

ごはん、パン、根野菜、豆などに多く含まれるデンプン(=多糖類)は、先ずは口の中の唾液中のアミラーゼという消化酵素により大まかに消化され、マルトースとデキストリンという種類の糖質に分解され胃に到達します。

胃では糖質の消化酵素は分泌されませんが、強酸性の胃酸の影響でpHが低下して酸性になるまでの間は唾液アミラーゼの活性が持続し、デキストリンの消化は進みます。

酸性になってからは唾液アミラーゼによる消化はほとんど行われません。

胃を経て、小腸の十二指腸に送られてきた食べ物は、pHが酸性のため、その後の消化酵素がよく働くように膵臓から分泌される膵液によって中和されます。

そして、未消化のデンプンは膵臓アミラーゼによってさらに消化され、マルトースにまで分解されます。

最後にマルトースは、小腸粘膜上皮細胞表面に存在するマルターゼという消化酵素によってグルコース(ブドウ糖)に分解されます。

マルトース(麦芽糖)、ラクトース(乳糖)、スクロース(砂糖、ショ糖)などの二糖類は、それぞれ消化酵素のマルターゼ、ラクターゼ、スクラーゼによって、グルコース、ガラクトース、フルクトース(果糖)などの単糖類まで分解されます。

グルコースとガラクトースは、小腸上皮細胞膜に存在するSGLT1というナトリウム依存性グルコース輸送体により細胞内に送られ、その後、小腸上皮細胞の下(体内側)にある基底膜からGLUT2というグルコース輸送体により毛細血管へ送られます。※4、※5、※6

フルクトースは、小腸上皮細胞膜に存在するGLUT5というグルコース輸送体により細胞内に送られ、その後はグルコースとガラクトース同様に、GLUT2により毛細血管へ送られます。※4、※5、※6

SGLT(ナトリウム依存性グルコース輸送体)

sodium glucose cotransporterの略。

体内に存在するナトリウムは、そのほとんどが細胞外の体液中に存在しています。※8

そのため、ナトリウムの濃さ(濃度)は、細胞の外が高く、細胞の中は低くなっているため、細胞の外→中へ入ろうとする力が働くのですが、SGLTはこの力を利用してグルコースとナトリウムを細胞内へ同時に輸送します。※9

嚙み砕いて言うと、ナトリウムが運ばれるついでに、グルコースも一緒に運んでもらうというイメージです。

また、ナトリウムが細胞の外→中へ入る理由としては、野菜の塩漬けを思い出していただけるとイメージしやすいでしょう。

代表的なのがSGLT1とSGLT2で、SGLT1は主に小腸に、SGLT2は腎臓に局在しています。

SGLTについては、未だ解明できていない部分が非常に多くあります。

GLUT(グルコース輸送体)

glucose transporterの略。

細胞は脂質の膜に包まれており、水に溶けやすい(親水性)物質である糖質は、そのままでは細胞内に入ることができません。

そこでGLUTというタンパク質の働きによって、糖質は細胞内へ取り込まれます。

以下の表は代表的なGLUTをまとめたものです。※10、※11、※12

GLUTについても、未だ解明できていない部分が非常に多くあります。

GLUTの種類 主に存在している場所 特徴
GLUT1 赤血球、胎盤、胎児組織、脳、腎臓、心筋、大腸、脂肪組織など GLUT4とは対照的に大部分が常に細胞膜上に存在しており、基礎的な糖の取り込みに貢献している。広範囲に存在している。
GLUT2 肝臓、すい臓β細胞、腎臓、小腸 小腸上皮細胞において、SGLT1で取り込まれた糖を血液側へ輸送する。すい臓β細胞の機能制御に関係している。
GLUT3 脳、胎盤、腎臓、肺、脂肪組織、小腸など 広範囲に存在している。
GLUT4 骨格筋、心筋、脂肪組織 筋肉の収縮やインスリンに反応して細胞内(小胞)から細胞膜上へ移動し、細胞内へ糖を輸送する。
GLUT5 小腸、精子 単糖類のフルクトースは輸送するが、グルコースやガラクトースは輸送しない。

3.糖質の吸収~燃焼

小腸から吸収された糖質はその後、血流に乗って全身を巡っていきます。

そして、その糖は全身の各細胞へ送り届けられ、細胞が機能を果たすためのエネルギーとして利用されることになります。

糖を一番多く消費しているのが筋肉であり、二番目は脳ですが、筋肉で既に約7割とほとんどの糖質を消費しているため、ボディメイクや健康維持においては、いかに筋肉で糖質を燃焼させるかが鍵となってきます。※13

骨格筋の糖質の取り込みは、GLUT4によって行われます。

GLUT4は普段は細胞内に存在していますが、「インスリンによる刺激」または「筋収縮による刺激」が加わることで細胞膜上に移動(トランスロケーション)し、細胞内へ糖質を取り込みます。

インスリンによるGLUT4のトランスロケーション

インスリンは血糖値を下げる唯一のホルモンであり、血糖値の上昇を感知した膵臓(β細胞)から分泌され、血流に乗って全身を巡っていきます。

骨格筋や脂肪の細胞表面にはインスリンを感知するセンサー(インスリン受容体)があり、このセンサーがインスリンを感知すると、細胞内へ情報が伝達され、細胞内のGLUT4が細胞膜上に移動(トランスロケーション)してくるのです。

インスリンの刺激が収まると、GLUT4は細胞内へ戻ります。

筋収縮によるGLUT4のトランスロケーション

実は、からだのエネルギー源の最小単位はATP(アデノシン三リン酸)という物質で、糖質や脂質などもエネルギーとなる前にはATPに変換されています。

筋肉の収縮が行われた後は、細胞内のATPが減ることでエネルギー量が低下します。

これにより、細胞内のエネルギー量を監視する役割を担うAMPKという酵素が活性化すると、GLUT4が細胞膜へ移動(トランスロケーション)してくるのです。

こちらのGLUT4トランスロケーションの仕組みにはインスリンは関係していませんので、糖尿病でインスリンによる血糖値のコントロールが出来なくなっている人や、その予備群の人においては、積極的に活用すべき仕組みです。

4.終わりに

体内の全グリコーゲン(=体内に貯蔵された状態の糖質のこと)の約3/4は筋肉に存在しますが、脂肪組織にはグリコーゲンはほんの少ししか貯蔵されておらず、ほとんどが中性脂肪(トリアシルグリセロール)の状態で貯蔵されています。※3

また、先程説明しました通り、体内で利用される糖質の約7割が骨格筋で利用されています。※13

以上を踏まえて、脂肪組織の中に中性脂肪を増やすこと(=体脂肪増加=太る)を避けるためには、摂取した糖質は筋肉で燃焼・消費させることが何より重要なのです。

脂肪細胞は中性脂肪という予備のエネルギーを貯蔵するのが主な役割であり、筋肉細胞は自らを収縮させて動作を作り出すのが主な役割です。

したがって、何も考えずとも運動を行い、筋肉を収縮させさえすれば、勝手に筋肉ではエネルギーの消費が行われ、消費されたエネルギーを補うために血中のエネルギー源(糖質や脂質)を取り込んでくれる訳です。

筋肉が血中のエネルギー源を取り込んでくれるということは、その分が脂肪組織や肝臓に取り込まれずに済むということになります。

このあたりのメカニズムについては「運動が太りにくい体質をつくる理由・メカニズムを初心者へ解説」をご覧ください。

参考文献

※1 厚生労働省e-ヘルスネット「食物繊維の必要性と健康」

※2 日本人の食事摂取基準(2020年版)炭水化物

※3 はじめの一歩のイラスト生化学・分子生物学 牛土社

※4 臨床栄養実践ガイド

※5 小腸粘膜の生理と糖尿病治療 – J-Stage

※6 小腸吸収上皮細胞の消化と吸収機構 – J-Stage

※7 炭水化物のすべて 山本義徳 著

※8 厚生労働省e-ヘルスネット「ナトリウム」

※9 糖のトランスポーター,レセプター – J-Stage

※10 動物細胞へのグルコース輸送は神経の支配を受ける – J-Stage

※11 糖輸送担体 病態における異常とその意義 – J-Stage

※12 哺乳類フルクトース輸送体GLUT5の構造と分子機構 – J-Stage

※13 DeFronzo,1988

※14 厚生労働省e-ヘルスネット「インスリン」

※15 インスリンシグナリングの調節とその障害 – J-Stage

※16 運動と骨格筋GLUT4 – J-Stage

※17 AMP活性化プロテインキナーゼとグルコース輸送の調節

※18 真核細胞のエネルギー・センサー「AMP キナーゼ」 – J-Stage

 

当ジムが目指すのは、ただ痩せるのではなく、美容・体力向上・機能改善といった健康増進が達成された状態へお客様を導くことです。

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大和 弘明(職業:パーソナルトレーナー)

ガリガリから細マッチョとなり24/7ワークアウトへ入社し1年で独立。
カラダに対する自身の辛い経験をバネに、豊富な知識と競技者ならではの実践的な指導で
特にダイエットしたい女性や筋肉を付けたい男性を指導している。

賞歴:2016年第68回東京都パワーリフティング〔ノーギア〕選手権大会66kg級 優勝

資格:日本タイ古式マッサージ協会プロフェッショナルセラピスト

活動エリア:杉並区(西永福、浜田山、久我山)、新宿、恵比寿

【大和パーソナルジム拠点】
東京都杉並区大宮2-7-4
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