60代男性が4ヶ月で糖尿病を改善した食事法

西永福駅、永福町駅から徒歩数分の位置にあるパーソナルトレーニング専門ジム、大和パーソナルジムを運営しております代表の大和と申します。

前回の記事では、当ジムの60代男性のお客様が、4ヶ月間で糖尿病を改善させる為に行った筋トレ内容、筋肉量と糖尿病の関係性について解説しましたので、本記事では、こちらのお客様が糖尿病を改善させる為に実際に行った食事法について解説します。

実際の食事の写真も掲載してありますので、健康的な食事のイメージが沸かないという人は参考にしていただければと思います。(事前にご本人から公開の許可をいただいております)。

なお、既に医師から指導を受けている人は、その指導内容を優先していただき、本記事の内容を実施したいと思った場合は必ず事前に医師に相談して下さい。

動画でも詳しく解説しておりますので、記事と合わせてご覧下さい。

目次

1.どれくらい糖尿病が改善したのか
2.糖尿病改善には体脂肪の減少が必要
3.糖尿病改善の為に行った食事法
4.実際の食事
5.一見良さそうでも実はNGな食事
6.終わりに
参考文献

1.どれくらい糖尿病が改善したのか

4ヶ月間、徹底した食事管理と1回あたり60分間のパーソナルトレーニングを週2日行った結果は以下の通りで、非常に素晴らしい改善が見られました。

HbA1cの変化(基準値:4.6~6.2[%])
開始前 4ヶ月後
7.9[%] ※基準値外 6.2[%] ※基準値内

過去にも多くの糖尿病および糖尿病予備群の人を担当して参りましたが、中でも今回の60代男性のお客様の4ヶ月間のHbA1c(糖尿病の指標)の数値変化は非常に素晴らしいものでした。

2.糖尿病改善には体脂肪の減少が必要

糖尿病は、インスリンに対するカラダの反応が悪くなり過ぎる事で、「いくらインスリンが分泌されても血糖値を下げられなくなってしまっている状態=インスリン抵抗性の状態」です。

脂肪細胞は、摂取し過ぎた脂質や糖質を中性脂肪として貯蔵するという役割だけでなく、カラダの機能を維持する為に必要な物質の分泌器官としての役割がありますが、中性脂肪を貯め込み過ぎて肥大化した脂肪細胞は、これらの物質の分泌機能に異常をきたしてしまうのです。

この脂肪細胞の分泌機能の異常が、インスリン抵抗性の原因のひとつとなります。

肥大化した脂肪細胞は敵の様な働きをしますが、正常なサイズの脂肪細胞は健康の味方となります。

したがって、瘦せ過ぎで筋肉も体脂肪も少ない人を除き、殆どの人の場合は糖尿病の改善にはダイエットで体脂肪を減少させる必要があります。

(脂肪細胞の働きについて知りたい人は、「太りやすい原因とは?太る程に太りやすくなるメカニズム」の記事をご覧下さい。)

3.糖尿病改善の為に行った食事法

実施内容
・脂質の摂取量を20%に抑える
・食物繊維を1日22g以上摂取する
・食事のボリューム配分を夜≦朝<昼とする
・朝食と夕食の時間をなるべく早くする
・朝から高タンパクな食事を行う

こちらの60代男性のお客様には4ヶ月間、脂質の摂取量を20%に抑える脂質制限を行っていただきました。

また、「食物繊維を1日22g以上摂取する事」、「食事のボリューム配分を夜≦朝<昼とする事」、「朝食と夕食の時間をなるべく早くする事」、「朝から高タンパクな食事を行う事」の4つの事を心掛けていただきました。

脂質制限とは、カロリーを含む三大栄養素の内、脂質の摂取量を制限・コントロールする食事法です。

具体的には、目標摂取カロリーに対して脂質の摂取量を20%にします。

目標摂取カロリーとは、ダイエット中に目標とする摂取カロリーの事で、1日の消費カロリー(=基礎代謝+身体活動量+食事誘発性熱産生)よりは少なく、基礎代謝よりは多い量で設定します。

(目標摂取カロリーの設定方法につきましては「ダイエットの目標設定(体重・体脂肪率・カロリー)を解説」をご覧下さい。)

基礎代謝は、1日を安静にして過ごしたとしても消費されるエネルギーであり、生命維持に必要なエネルギーですので、必ず目標摂取カロリーは基礎代謝を下回ってはいけません。

脂質制限の目標PFC
三大栄養素 エネルギー量 比率 1500Kcal/日の場合
タンパク質 4Kcal/g 30% 450Kcal/日(112g)
脂質 9Kcal/g 20% 300Kcal/日(33g)
糖質 4Kcal/g 50% 750Kcal/日(187g)

仕事や趣味などでカラダを良く動かすという人(消費カロリー自体が多い人)の場合は、「タンパク質:脂質:糖質=30%:10%:60%」としても良いですが、殆どの人の場合は1日の消費カロリーが想像以上に少ない事が予想される為、あまりカラダを動かしていない人の場合は上記の表に示した「タンパク質:脂質:糖質=30%:20%:50%」とする事で、脂質の摂らなさ過ぎを防ぎましょう。

例えば、1日の消費カロリー(=基礎代謝+身体活動量+食事誘発性熱産生)が1800kcalとして、目標摂取カロリーを1500kcalに設定したとすると、1日あたり-300kcalを生み出せる事になり、理論上1kg約7200kcalの体脂肪が24日で燃焼される事になります。

目標摂取カロリーが1500kcalであれば、上記の表の比率に当てはめると脂質は20%なので、”1日あたり33g”という事になります。

脂質制限で重要なポイント

同じく目標摂取カロリーを1500kcalに設定し、脂質の割合を10%にしたとすると、1日あたり16gと非常に少ない量になってしまいますが、1日の脂質の摂取量を30g以下にする事は避けるべきです。

厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2025年版)に、脂質の摂取量は総摂取カロリーの20~30%と書かれておりますがグラム数までの細かな記載はありません。

ちなみに、脂質の摂取量を総摂取カロリーの20~30%と設定した根拠の信頼性レベルとしては、エビデンスレベルD3とあまり高くなく、「絶対にこの数値にして下さい!」と言う程のものではありません。

パーソナルトレーニングジムを7年運営している筆者の経験を踏まえてお伝えしますと、特にダイエット中に1日の脂質の摂取量を30g以下にしてしまいますと、便秘、生理不順、疲れやすくなる、風邪を引きやすくなる、筋肉量の低下、痩せにくくなるといった現象が起こりやすくなります。

これらの現象が起こる理由には、脂質が細胞膜やホルモンの材料になったり、ビタミンの吸収を促す働きを行っている為です。

生活でカラダを動かしていなかったり、筋肉量が少なかったりする人の場合、1日の消費カロリーが1500kcalにすら到達しない事は普通によくある話です。

ですので、目標摂取カロリーを決めて、脂質20%で算出した脂質の量が30gを下回ってしまった場合は、目標摂取カロリー自体を見直して下さい。

4.実際の食事

朝食

昼食

夕食

 

5.一見良さそうでも実はNGな食事

こちらの夕食メニューをパッと見て、殆どの人は「健康的な食事じゃん!」と思うはずですが、実は典型的な望ましくない食事メニューとなります。

望ましくない点 理由
脂質が多い 鯖100gあたり脂質19g、納豆1パックあたり脂質5gで合計24gと夕食としては高い数値である為。
食物繊維が少ない 1日に推奨されている食物繊維22gを摂取するには1食あたり手のひらに山盛り位の食物繊維を含む食品(野菜+海藻+キノコ)を摂取する必要がある為。

ダイエットを頑張っているつもりでもなぜか痩せないという人は、大抵この様に脂質が多く、食物繊維が少ない食事を夕食に食べてしまっています。

「魚の油は健康に良いから」といううたい文句で自分を納得させてしまっている人が多いですが、どれだけ良質な脂質であったとしても、脂質は脂質であり、体脂肪の主原料だという事を忘れない様にしましょう。

(魚の油は太らないと勘違いしていた人は「魚の油が太る理由!脂質の性質と全体像」の記事をご覧下さい。)

特に脂質の摂取量に関しましては、糖尿病の改善だけでなく、ダイエット中や太りたくないという人の場合、夕食では脂質の摂取量を15g程度にとどめる事をおすすめします。

(なぜ脂質の摂取量を一番に気を付けなければならないのか、詳しい理由を知りたい人は「体脂肪合成・分解のメカニズムを初心者へ解説」をご覧下さい。)

6.終わりに

糖尿病の改善には運動療法が重要視されており、医師からも運動の実施を指示される事が多いですが、運動だけを行っていても糖尿病の改善は見込めません。

と言いますのも、食べた物を消費し切る事が出来るのであれば良いですが、一般人がそれ程の活動量を高めた運動を行う事は不可能と言っても過言ではありませんし、既に糖尿病および糖尿病予備群となってしまっている人は、筋肉量が足りていない(糖質の代謝は主に筋肉が行っている)事が予想されます。

筋肉は体脂肪とは違って簡単には増やす事が出来ません。

したがって、どうしても食事のコントロールを行う必要が出てくる訳です。

そして、糖尿病になってしまった人は、食事内容に問題がある事は明らかですので、根本的に糖尿病を改善させて、改善させた後も再発症させない為に、運動の継続+食事コントロールの習慣化を目指していきましょう。

参考文献

はじめの一歩のイラスト生化学・分子生物学 牛土社

厚生労働省e-ヘルスネット「ヘモグロビンA1c / HbA1c」

厚生労働省e-ヘルスネット「Hb / 血色素量」

厚生労働省e-ヘルスネット「糖尿病を改善するための運動」

厚生労働省e-ヘルスネット「インスリン抵抗性」

日本糖尿病学会「糖尿病治療ガイド」

病気がみえるvol.5血液

4.脂肪細胞によるインスリン抵抗性の分子機構 – 日本医学会

日本人の食事摂取基準(2025年版)

運動とインスリン抵抗性 – J-Stage

② Intensive insulin therapy 1. Insulinの作用機序に関する最近の知見 – J-Stage

脂肪細胞とインスリン抵抗性 – 鎌田勝雄教授

 

当ジムが目指すのは、ただ痩せるのではなく、美容・体力向上・機能改善といった健康増進が達成された状態へお客様を導くことです。

「いつまでも自分の足で歩きたい」「病院通いではなく楽しいことにお金を掛けたい」「いつまでも美しくありたい」「家族の健康を守りたい」と言うような、”健康増進”を強く望む方にとって、当ジムは最強のサポーターとなることをお約束します。

どうぞお気軽に無料カウンセリング・体験トレーニングへお越しください。

 

大和 弘明(職業:パーソナルトレーナー)

ガリガリから細マッチョとなり24/7ワークアウトへ入社し1年で独立。
カラダに対する自身の辛い経験をバネに、豊富な知識と競技者ならではの実践的な指導で
特にダイエットしたい女性や筋肉を付けたい男性を指導している。

賞歴:2016年第68回東京都パワーリフティング〔ノーギア〕選手権大会66kg級 優勝

資格:日本タイ古式マッサージ協会プロフェッショナルセラピスト

活動エリア:杉並区(西永福、浜田山、久我山)、新宿、恵比寿

【大和パーソナルジム拠点】
東京都杉並区大宮2-7-4
京王井の頭線 西永福駅から徒歩5分